2008年3月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2008年2月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

特集<ナノファイバー> 繊維と工業 Vol.64,No2,(2008) p60〜84
   エレクトロスピニング法によるナノファイバー 光触媒ナノファーバーの開発 p60〜63

光触媒ナノファイバーの開発として、1光触媒坦持ナノファイバー不織布(ナノファイバー不織布に光触媒をコーテイング)、2光触媒成分含有セラミックナノファイバー(光触媒成分を含有するセラミックであるSi-Ti-C-O系繊維を用いる)、3酸化チタンナノファーバーを作成した。


   エレクトロスピニング不織布の特徴と応用 川部 雅章 p64〜69

エレクトロスピニング不織布の基本構造と特徴(構造、複合化(ポリエステルスパンボンドなどと容易に複合化できる)、延伸配向(シート形成後に延伸することにより一方向の強度があがる)、応用例(液体フィルター、エアーフィルター、成型加工)、無機繊維(無機ゾル溶液のES法により開発したシリカガラス繊維)について解説している。


   エレクトロスピニング法によるナノファイバーの工業化に向けて 山下 義裕  p70〜75

地域コンソーシアム研究で「エレクトロスピニング法によるナノファイバーの連続加工 装置の開発とその製品化」の研究を行った。ナノファイバーの連続加工装置の開発においては、溶液の送液、マルチノズル、目付け制御、溶媒回収などに鍵がある。製品化においては、自動車シートの表皮加工、フィルター用炭化ポリアクリロニチリルナノファイバー、高性能繊維(ポリイミド、アラミド、CNT含有ポリマー)を用いたナノファイバー作成などの研究を行った。


   高機能ナノコンポジットファイバー 白鳥 世明 p76〜80

ナノコンポジットファイバーによる高表面積材料、ナノコンポジットファイバーによる 空気清浄用フィルター、 酸化チタンナノファイバーによる色素増感太陽電池などについ て研究成果を報告している。


   エレクトロスピニング法(溶融法)小形 信男、島田 直樹 p81〜84

筆者研究室にて開発した溶融型静電紡糸装置について解説している。レーザー加熱部を持つ装置である。高分子の棒状材料を一定速度で溶融部に供給し、その先端を3箇所から同時に炭酸ガスレーザー光で加熱し局所的に均一にロッドを溶融させこの融液に高電圧を印荷し、紡糸空間を加熱状態におき静電的牽引力により繊維を作成することである。
この装置の特徴は、レーザー加融溶融であるため、瞬間局所加熱が出来エネルギー散逸が少ないこと、ノズルを使用しないこと、融点の高いエンプラの紡糸が可能であることである。


2.繊維機械学会誌

特集 原糸改質繊維の後加工による機能発現 繊維機械学会誌 Vol.61,No.2(2008) p19〜152
  原糸改質プラス後加工技術の基本的な考え方と技術動向 鈴木東義 p123〜128

「原糸改質プラス後加工技術」による素材・製品
素材・製品 特徴 ポリマー・原糸改質 後加工技術 自然界の構造に学ぶ
ミクロクレーター繊維 繊維表面での光の反射の防止⇒深色・鮮明色 微細孔形成ブレンド アルカリ減量加工 蛾の角膜のサブミクロン凹凸構造
多孔中空断面繊維 中空部への連通微細孔、毛細管給水・速乾機能 樹木の毛細管現象
多溝性繊維 柞蚕調ドライタッチ風合 柞蚕絹
表面フィブリル繊維 リヨセル、サンドシルクのフィブリル風合 フィブリル形成剤ブレンド 繊維表面への応力付与⇒アルカリ減量加工 サンドシルク
常圧可染PET 天然繊維・セルロース繊維との混用・製品染め 共重合改質 染色技術 天然繊維
新合繊 シルクを超えるふくらみ⇒桃の産毛タッチ風合 異収縮混繊糸(自己伸張糸+高収縮糸) 染色仕上げ工程での熱収縮挙動制御 天然繊維の模倣から超天然繊維へ
超極細繊維 人工皮革、ワイパー、フィルター 複合紡糸(海島、多層貼り合わせ) 溶割技術、割繊技術 天然皮革の超極細繊維と立毛
吸汗・速乾素材 汗処理機能 異形断面繊維 吸汗加工 毛細管現象
超撥水素材 凹凸構造の高密度織物 極細繊維使いの混繊糸 撥水加工 蓮の葉、里芋の葉(凹凸構造)
黒深色素材 スパン調風合+黒深色 糸足差原糸複合仮撚糸 染色技術、深色加工 ウールの黒の深み
 

  ミクロクレーター繊維の歴史と展開 山口 新司 p129〜133

 薄暮の空中を飛び交う蛾の眼(角膜)はブミクロンオーダーの規則正しい凹凸構造が存在する。角膜細胞の先端が配列しているためで突起の高さ相互の間隔はともに約0.2μmである。蛾の眼は光の表面反射が極端に少ないため、夕暮れの微弱な光でも反射ロス無く十分に取り込むことができる。これをヒントに黒染め後のポリエステル布をプラズマエッチングすると繊維表面はサブミクロンの凹凸が出来るが、黒い布がより黒くなることを見出した。
この原理を応用して繊維の表面を加工し光波長オーダーの微細な凹凸をつけるための原糸改質と加工技術を開発することとなった。
以下、繊維中への無機微粒子の添加、微粒子分散状態、微細凹凸表面を形成するためのアルカリエッチングについて詳述している。


  極細繊維による感性素材の開発 須山浩史、渡部いく子、後藤裕利 p135〜138

東レ のシルキー素材「ソワニール」、ナチュラル光沢素材「ソリュートペルラ」、ソフトコンパクト素材「アーティローザ ディノーバ」、保型機能性ファッション素材「アーティローザ ニューク」について、原糸改質にプラスしての後加工技術について解説している。
「ソワニール」の場合、海島原糸を用いているが、島成分のポリマーに特殊微粒子を配合し、海成分ポリマーの溶解除去と同時に島成分表面の特殊微粒子を脱落させ、単糸繊度が0.18dtexの極細繊維でありながら繊維表面にランダムかつ微細な凹凸を発現させた。その結果、反射光量が抑えられ上質のシルクのようなつややかな光沢が生み出された。


  吸水性ポリエステル繊維「ウエルキー」 鈴木東義 p139〜143

ウエルキーの微細孔構造の設計、連通微細孔の形成技術、ウエルキーの微細孔構造、ウエルキーの特性などについて解説している。
ウエルキーの連通微細孔の形成技術は、ポリエステルに特殊な微細孔形成剤を含有させ、紡糸・製織後のアルカリ処理で添加剤を溶解除去し連通微細孔を形成させたものである。


  常圧カチオン可染糸「A.H.Y」 日下孝司 p144〜147

 A.H.Yは、常圧でカチオン染料に染まるポリエステルである。A.H.Yの染色特性、アルカリ処理による減量特性、A.H.Yの基本物性について解説している。


  異形断面と複合紡糸技術による高機能原糸 木下直之 p148〜152

 東レの異型断面手法と複合紡糸手法による高機能原糸を紹介している。異型断面手法による高機能原糸には、高吸汗・速汗素材「エアファイン」、清涼感素材「セオα」、新規光沢・感性素材「シルック・ラフール」、高感性素材「シルックデュエット」などがある。
ブレンド・複合紡糸による高機能原糸には、高質感光沢素材「クリスロン」、きしみ感素材「フェミノス」、後溶出型中空ナイロン「エアリーサムロン」などがある。
「エアリーサムロン」は芯部にポリ乳酸、鞘部分にナイロンを配し、布帛にした後でアルカリで芯成分を溶出させた中空糸である。芯成分のポリ乳酸は、通常のPETと比較してアルカリ溶出速度が速く、溶融紡糸可能な耐熱性もあり、高速曳糸性にも優れ生産性が高い。


シリーズ化合繊の基礎と最新の技術

本シリーズは本学会で実施しているテキスタイルカレッジ講座のカリキュラムを順次紹介するシリーズである。

  合成繊維の繊維化プロセス、構造と物性の関係 石原英昭 p153〜164

紡糸技術の分類、紡糸におけるレオロジー現象、紡糸法の種類と繊維の構造・物性(多孔系溶融紡糸とスパンボンド紡糸、高速紡糸、乾湿式紡糸、乾式紡糸、スピンドロー紡糸、)などについて解説している。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (2008年2月公開分)

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