2008年4月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2008年3月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

特集<高性能高分子の最近の展開−材料−> 繊維と工業 Vol.64,No3,(2008) p88〜104
   LCPの特徴と今後の開発動向 岡本敏 p.88〜92

液晶ポリマー(LCP)とは、工業化の歴史と市販グレード、原料及び製造方法、物性、市場と用途、課題と展望を筆者(住友化学)のスミカスーパーLCPを例に紹介している。液晶ポリマーは分子内に剛直構造の液晶形成基(メソゲン基)を主鎖骨格に有するが、このような剛直構造だけでは融点(正確には液晶温度)が非常に高くなり溶融形成ができないため、融点を下げるために、各種成分を共重合することにより溶融成形が可能なように分子設計がされている。用途はコネクター(50%)、AV・OA(10%)などで繊維・フィルム用は僅かであるが今後の伸びが期待されている。


   PPSの特徴と開発動向 大西克平 p.93〜95

基本物性と特徴、市場動向と主な用途、PPSに求められる品質とその開発動向(品質向上、高靭性・耐ヒートショック材料、高寸法精度材料、薄肉高流動・高剛性・高衝撃材料、・低燃料膨潤材料)、今後の課題などについて解説している。


   耐熱性ポリアミド樹脂の特徴と今後の開発動向 田村興造、宗澤裕二 p.96〜100

耐熱性ポリアミドの種類と特徴、需給動向と主な用途、材料開発及び用途開発動向(電気・電子用途、LED反射板用途、自動車・工業用途)、今後の開発動向について解説している。


   構造制御した新規光・電子機能性オリゴマーの開発 今栄一郎 p.101〜104

1970年代に白川らがポリアセチレンのフィルム化に成功し、そのフィルムのヨウ素ドーピングによって電気伝導性が見出されて以来、π共役系を有する有機高分子材料は高い関心を集め、関連する研究が爆発的に行われるようになった。
中でも、ポリチオフェンやポリフェニレンビニレン、ポリアニリンなど芳香族系π共役系高分子は、分子修飾の容易さや取り扱いの簡便さ、化学的安定性といった特徴を有しているため、有機オプトエレクトロニクスの分野において最も活発に研究されている化合物群である。
芳香族系π共役系高分子はスピンコート法などにより簡便に自立性膜を作製できるなど力学的強度に優れる一方、「高分子」であるがゆえに分子量分散や構造欠陥があり、個々の分子の電子状態が不均一であるため、分子構造と光電物性との相関を関連付けて解明することが困難であった。このような問題点を解決することを目的として、π共役系高分子のモデル化合物として重合度、重合位置を制御したπ共役系オリゴマーに関する研究が行われ、これまでに熱的、光学的、電気化学的および電気的性質について詳細に調べられてきた。
さらに、構造を制御したπ共役系オリゴマーは電子状態が均一であるために、電荷移動の際にトラップサイトが存在しない、電子吸収バンドがシャープである、といった特徴を有していることから、π共役系高分子よりも高い電荷移動度を示したり、鮮明な色調を示すことができ、π共役系オリゴマー自身を電荷移動材料や表示材料といった光・電子機能性材料へ応用する研究も活発に行われるようになってきた。
しかしながら、π共役系オリゴマーを含む低分子化合物は、一般に結晶化しやすく、真空蒸着法やスピンコート法によって作製した薄膜は多結晶膜を形成する傾向がある。このような結晶性は有機ELデバイスなど固体デバイスを作製する際に、光の散乱や電荷のトラップサイト、短絡など様々な問題が生じるためふさわしくない。以上のような問題点を解決する目的として、まず側鎖にπ共役系オリゴチオフェンを導入した非共役ポリエチレン誘導体を合成し、その物性および光・電子機能性材料へ応用した研究結果について紹介する。また、ケイ素化合物の特徴を活かした新規光・電子機能性材料として、π電子系クロモフォァを有する籠状オリゴシルセスキオキサンや、芳香族系π共役系化合物だけでなくσ電子が共役構造に関与したオリゴシランについても紹介する。


2.繊維機械学会誌

特集 繊維リサイクルと環境対応(その2) 繊維機械学会誌 Vol.61,No.3(2008) p189〜209
  日本における繊維リサイクルの文化について 玉田真紀 p.189〜194
日本において、衣服や布を再利用する伝統的な生活文化と循環システムがいつ頃まであり、どのような活用がなされてきたかを、近世から近代(17〜20世紀)にかけて、残存する衣服や生活様式の資料並びに文献より考察している。
  • 伝統的な生活に見られる古着・古布の再利用
  • 衣生活を支えた近世から近代にかけての古着・古布の流通
  • 近代の故繊維業界の繁栄

  未利用羊毛屑シートの機能性 横田博志、国武哲則、岡部孝之 p.195〜200

未利用羊毛屑(起毛屑)を活用するために、抄紙技術を用いてパルプとポリ乳酸繊維とを組合せてシート化を行い、羊毛屑シートの機能性について評価した。また、紫外線遮蔽効果を付与するため、廃瓦の微粉末を配合した。
羊毛屑の配合率を上げるとかさ高くなるが強度は低下する傾向にある。また、羊毛屑の配合率を上げると吸油速度が早くなるが、細孔径も大きくなる傾向にあり、毛細管現象が寄与していると思われる。また、瓦粉末を配合することにより紫外線カット率が大きくなる。羊毛屑シートの特徴を考慮した用途は、吸油性(吸油マット、包装(紙、キッチンペーパー)、アンモニア吸着性(便座シート、紙おむつ、ペット用シーツ)、紫外線遮蔽性(障子紙、日除け天井シート、壁紙)、生分解性(防草苗シート、紙マルチ、農業資材)、風合い(ランプシェード、インテリア資材)などである。


  環境に優しい膜構造建築物用膜材料の開発−ケナフ繊維を使ったリサイクル可能な膜材料− 豊田 宏 p.201〜203

筆者の会社(太陽工業)では、ケナフを使ったリサイクル可能な膜材料「ケナファイン」を開発した。

ケナフィンの試料を2p角に切断し、抄紙試験機により高速回転・粉砕、パルプ製作を行い、このパルプを用いて手漉きを試みたところ印刷が可能な再生紙が得られた。


  繊維リサイクルと未利用天然繊維 岡内成夫、山本直文 p.204〜209

筆者の会社(池上機械)のリサイクル用機械及び未利用天然繊維加工機械を紹介している。リサイクル用機械は、リサイクラー(切断・反毛機で不織布やカーペットなどの工程屑を対象)、未利用天然繊維は、竹を爆砕して利用する爆砕竹炭繊維用の各種加工機械を紹介している。


シリーズ化合繊の基礎と最新の技術

本シリーズは本学会で実施しているテキスタイルカレッジ講座のカリキュラムを順次紹介するシリーズである。


  ポリエステル繊維の染色技術 峯村勲弘 p.215〜222

染色技術の基礎、染色法の分類、ポリエステル繊維の構造と物性、染色(分散染料による染色)の過程を教科書的に解説している。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (2008年3月公開分)

PDFファイルをご覧ください(367KB)

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