2008年10月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2008年9月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

特集 これからの自動車に求められる繊維材料 繊維と工業 Vol.64,No9(2008)
p276〜p305


 自動車用の繊維材料  間瀬 清芝 p276〜p278

自動車材料は、作るとき、使うとき、役目を終えた後に常に人体や環境に負荷をかけないことを大前提に開発を行っている。繊維製品は、リサイクル技術が進み、ポリマーに戻る材料も現れてきたが、廃車の際に長らく埋め立てや焼却により処分してきた。使用後にも環境や人に負荷をかけないよう安全な材料を使う義務がある。合成繊維は、燃えやすい物質が多いことから難燃剤と合わせて使用しており、これらの物質の安全性には注意を払っている。また、非化石原料のポリ乳酸繊維やケナフ繊維を利用した製品も登場している。ポリ乳酸繊維は、耐摩耗性、高温力学特性、染色工程での収縮率などの課題が多くあったが、繊維径や繊維断面形状等の改良によりフロアマットへの実用化が可能となった。ケナフは、当初、熱可塑性樹脂のPPをバインダーとしてドアトリム基材として1999年に実用化された。解繊したケナフの靭皮はPP繊維と混合、積層した後、過熱工程でPP繊維を溶融、ケナフ繊維との密着性を確保する。圧縮してドアトリム基材形状に成型した後、軟質材やファブリックで意匠性を整える。


  クルマの安全装具に求められる繊維 中山 芳和 p279〜p282

シートベルトとエアーバッグに求められる繊維の特徴と要求品質について解説している。シートベルトに使用される繊維は、ポリエステルの低伸度タイプと高伸度タイプとがあり、性能要件は各国で細かく規定された法規格がある。エアーバッグは、ナイロン66の超強力糸を平織りした織布が主流である。エアーバッグモジュールの小型化につれて700、470、350、230dtex程度の細い糸が開発され実用化されている。エアーバッグに求められる特性、エアバッグに適した糸(ナイロン66)の特徴などを紹介している。


  タイヤに求められる繊維材料 稲田 則夫 p283〜p286

タイヤ補強材としてタイヤコード用繊維の進化を紹介している。タイヤコード用繊維としては次のような繊維が使われている。PET:HMLSの開発経緯、ナイロン:航空機用や大型建設車両用のナイロン66の利用、乗用車用ラジアルタイヤのキャップフライへの利用、レーヨン:弾性率が高く熱収縮率が低いなど優れている面もあるが、強度が低い、疲労性が劣る、繊維生産上の公害問題などがあり、日本での強力レーヨンの生産は無く、PENの適用検討が行われている。アラミド:スチールコードの代替やキャップ材用途で使われている。アラミドとナイロンのハイブリッド材の使用も検討されている。また、タイヤ部材適用の進化やタイヤ種の進化の事例として、乗用車用タイヤのキャップコード、ランフラットタイヤ、航空機用ラジアルタイヤ、の進化事例を紹介している。


  感性と自動車(乗り心地の科学) 萩原 一郎 p287〜p290

感性領域のディジタル設計として、自動車の乗り心地を中心に、その感性領域のディジタル化の実現のための技術的課題を、CADなどグローバルネットワーク設計に関する技術、計算力学に関するソフトウエアー技術、協調工学に関するソフトウエアー技術に分け、それぞれの代表的な技術について、その現状と課題を整理している。


  カーシート表皮材の動向と今後のシート表皮材 松本 全博 p291〜p294

自動車用シート表皮材の動向、シート表皮材に求められる性能・機能、今後の表皮材について解説している。シート表皮材は、織物から編み物に移り、丸編み生地が主流である。求められる性能は、難燃性、磨耗性、縫製性、染色堅牢度、などである。今後の開発目標は、感性、環境対策(軽量による省エネ、VOC対策、サスティナブル材料)、室内快適性などである。


  炭素繊維強化プラスチックによる自動車の軽量化 和田原 英輔、北野 彰彦 p295〜p301

自動車への炭素繊維複合材料への適用技術について解説している。航空機分野で利用されている成型方法を自動車用途に適用するには、サイクル時間が長すぎるので、超ハイサイクル一体成型技術が開発された。超高速硬化型樹脂の開発、立体成型賦形技術の開発、高速樹脂含浸成型技術などから構成されている。また、異種材料との接合技術、安全設計技術、リサイクル技術などにも言及している。


  自動車用途における高機能不織布 田中 茂樹 p302〜p305

環境適合技術を中心に不織布の高機能化について解説している。昨今問題となっているVOCやその他の汚染物質は、使用材料を適切に選んだり、適切な加工条件を選べば問題は解決できる。熱接着性繊維を用いた不織布は、バインダー材を用いたものと比較してVOCの発生の可能性が低く、乾燥などのエネルギー使用が少ないため今後使用量が増加する。二酸化炭素削減や省エネルギー対策としては、吸音材や断熱材を中心にした開発が一定の効果を上げている。自動車メーカーの海外進出が進むなか、グローバル供給対応を進めていく必要がある。


2.繊維機械学会誌

ミクロフィブリル化繊維を充填したPLAコンポジットの材料特性
岡田賢治、上本真也 繊維機械学会誌 Vol.61,No.9(2008) p621〜p626

溶融混練法を用いたミクロフィブリル化セルロース(MFC)をPLAに均一に微分散させる分散化技術について検討した。PLA単体に比べてMFC/PLAコンポジットの弾性率は増加したが、曲げ強度は、MFCの分散が不十分と思われるため低下した。MFCをPLAに均一に分散させるには、混練前にMFCを水に分散させてスラリー化し嵩密度を上げた状態のMFCを用いる方法が有効と考えられる。


シリーズ化合繊の基礎と最新の技術

 本シリーズは本学会で実施しているテキスタイルカレッジ講座のカリキュラムを順次紹介するシリーズである。


  化学繊維産業の概要と技術動向 山崎 義一 p633〜p640

世界の繊維需要と化学繊維生産、世界の主要化学繊維の国別生産推移、日本における繊維産業の現状、日本の化学繊維の生産状況、用途別繊維消費量、貿易推移、日本の合成繊維技術開発の歴史、合成繊維の技術開発手段、今後の技術開発の方向について解説している。


  高速製糸用設備装置の開発(その3)−高速トラバース装置−  p641〜p645

上記シリーズの3番目として、高速トラバース装置の、糸の受け渡し、ブレード先端角度と糸の受け渡し、駆動系の構成、フリーレングス、回転ブレード支持部形状、トラバース速度調整ガイドについて解説している。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (2008年9月公開分)

PDFファイルをご覧ください(670KB)

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