2007年9月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2007年8月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

特集 シルクT 繊維と工業 Vol.63、No8、(2007)

我が国蚕糸業の歴史と近代化過程における役割 村上 毅 p209〜212

 養蚕の期限と伝来、蚕糸業概史、戦後の復興と衰退、世界の蚕糸業、蚕糸業の発展を支えたもの、蚕卵の人工ふ化法、蚕品種の改良、蚕品種の価値、新しい発展の可能性を述べている。


日本の養蚕技術 井上 元 p213〜217

 優れた蚕品種の育成、蚕種の製造技術、蚕種の保護取扱い技術、蚕の飼育方法、人工飼育技術、蚕病の防疫技術、桑の品種改良と製造技術について述べている。


日本の製糸技術 嶋崎 昭典 p218〜222

 製糸技術の特性、製糸作業の課題、二つの繰糸法、定粒繰糸法、定繊自動繰糸機、これからの製糸技術について解説している。


絹繊維の加工技術−精練、浸染、捺染、整理(仕上) 今井 健 p223〜232

 精練、浸染、手捺染(手画き染め、型染め、絞り染め)、機械捺染、整理(ゆのし、他)について解説している。


絹織物と西陣織 八田 誠 p228〜232

 絹の機織りの歴史、絹織物の製織について、後練織物(羽二重、縮緬)、先練織物、紋織物の最高峰・西陣織について、西陣の帯が出来るまでについて解説している。


2.繊維機械学会誌

次世代型自己調節機能素材 MRTファイバー
  安井 聡 繊維機械学会誌 Vol.60、No.8(2007) p40〜42


「ポリマーの開発」
 水分に反応して可逆的に動く素材を開発すべく、ポリマーの開発については、下記の3項目をコンセプトに検討を行った。
(1)常温で大きく動く→エラストマー
(2)水を吸う→親水部の導入
(3)リサイクル可能→ポリエステル系ポリマー
 その結果、ハード部がポリブチレンテレフタレート(PBT)、ソフト部がポリエチレングリコール(PEG)のエラストマー構造の分子設計により、従来にない.非常に高い吸水性を有し、かつ吸水⇔放水(乾燥)により可逆的に膨潤⇔収縮する超特殊ポリエステルポリマーの開発に成功した。

「原糸の開発」
 前記の超特殊ポリエステルポリマーを用いて、吸水⇔放水(乾燥)により長さ方向に可逆的に伸長⇔収縮する、超特殊原糸を開発すべく、下記の3項目をコンセプトに検討を行った。
(1)吸水・速乾性の向上→異型断面
(2)伸長⇔収縮パワーの最大化→モノフィラ化
(3)伸長⇔収縮量の最大化→製糸条件の最適化
 その結果、吸水すると伸長し、放水(乾燥)すると収縮する、水分の量に応じて可逆的に伸縮するという非常に特異な性質を持つ「MRTファイバー」の開発に成功した。「MRTファイバー」は吸水により長さ方向に約22%伸長し、乾燥すると元の長さに戻る。

「構造体の開発」
 この「MRTファイバー」と高度テキスタイル技術の融合により、着用者の発汗状態を感知し最適な構造へと自発的に構造変化する2種類のスマートテキスタイルの開発に成功した。
 (1)水分環境により生地の凹凸を調節(凹凸調節タイプ)
「凹凸調節タイプ」は、着用者の発汗状態に適合し生地の構造を3次元的に変化させる素材である。通常の乾燥状態では、マイクロファイバーを使用したフラットな素材表面により、着用者に快適な着心地を提供する。一方、運動を始めて発汗すると、素材の一部として使われている「MRTファイバー」が水分に反応して長さ方向に伸長することにより、生地の肌側に乾燥時の約2倍もの厚みを持つ凹凸が発現して、生地と肌とのべとつき感を軽減する。また、その凹凸によってできる肌表面の空間に空気が流れ込むことにより、速乾性を高める。運動後、汗が引いて乾燥状態になると、再びフラットで快適な着心地に戻る。
 (2)水分環境により生地の通気度を調節(通気調節タイプ)
「通気調節タイプ」は、着用者とともに呼吸する素材である。運動を始めて発汗すると、素材の一部として使われている「MRTファイバー」が水分に反応して長さ方向に伸長することによって生地の目が開き、乾燥時と比較すると通気性が約2倍にも高まる。この変化によって衣服内の温度と湿度を下げるため、着用者は不快な蒸れ感を感じることなく、快適に運動を続けることができる。運動後、汗が引いて乾燥すると元の状態に戻り汗が乾いた後の冷え感を軽減する。

「通気調節タイプ」のテキスタイルとしての基本構造も、「凹凸調節タイプ」と同様、2層構造であり、肌側の層は「MRTファイバー」と通常のポリエステル繊維で構成され、表側の層は通常のポリエステル繊維のみで構成される。そして、上記2層は全面的に連結された状態になっている。この構造により、生地が吸水し「MRTファイバー」が伸長した際、生地は平面方向(2次元)に拡張し、結果として生地の目が開く。


Techtextile/Avantex 2007 報告記
  米長 あきら  繊維機械学会誌 Vol.60、No.8(2007) p52〜57
繊維素材・糸関係

 アラミドなどのスーパー繊維といわれる高機能繊維は例年通り主力メーカーから展示PRされていた。この中でTeijinTwaron社は各種用途別の「Twaron」の新種をきめ細かく紹介していた。特にノークリンプタイプの「Twaron LFrGF/GS」と耐切創タイプの「Twaron SRM」などをはじめ、オランダで開発された直接紡糸の「Twaron jet pulp」とゴム添加剤の「Twaron」粉末の「Sulfon」が興味を呼んだ。ここではテナックスの炭素繊維「Tenax」と耐炎繊維「Pyromex」のPRも併設されていた。繊維素材関係ではこのほか、旧Enka系のPolyamide High Performance社(PHP)がナイロン6の「Enkalon」、ナイロン66の「Enka Nylon」、ナイロン46の「Satnyl enka」を大きなブースで紹介していた。特にエアーバッグ用の「Enka Nylon445 Hirr」や超強力の「Enka Nylon446 HRT」の性能をアッピールしていた。エァーアバッグ用途の繊度は235f72から700f108の5品種が提示されていた。旧Allied系の米国のPerformance Fibers社は高強力低収縮のポリエステル繊維「DSP fiber」一A375とA360はじめ、レーヨン対抗のハイモデユラスタイプ「PenTec」を紹介していた。高強力PET系で著名なオランダのDiolen Industrial Fibersbv社は新しくPPS繊維のマルチフィラメント糸「Diofort」を紹介していた。耐熱・難燃性、耐加水分解性、耐薬品性に優れ、コスト的にも有利でバランスの取れたスーパー繊維として、フィルターや自動車エンジン部、ゴム加工品に注目されている。欧州で人気の強いレーヨン関係ではオーストリアのLenzing社の「Lenzing FR」が非ハロゲン系の難燃レーヨンとして用途展開が進んでいる。米国軍事防護服に採用され、Twaronとの混紡品「Defender M」として話題を呼んでいた。
 また、ドイツKelheim Fibres GmbH社はPCM挿入のレーヨン糸とフラット断面構造を有する「Viloft」を紹介していた.前者は温冷調整機能の快適性機能を、後者は吸水性に優れ、水洗で繊維の開繊性を促進するフラッシュアブル素材としてアピールしていた。特殊な高機能性繊維は数多く展示されていた。その中から玄武石繊維(Basalt Fiber:Basaltex)、セラミック維(belCoTex)、PEEK繊維(Zyex)、ステンレス繊維(Sprinox Ugitech)などは優れた耐熱性、耐摩耗性で防護衣料、器具や建材用途などに適している。導電繊維は銅や銀のメッキやコーティング、カーボン挿入など英国のShakespeare社やフランスのR.Stat社など7-8社が展示していた。E一テキスタイルや電磁波防止、帯電防止などの用途に紹介されていた。ポリアクリレート系の特殊な吸水性繊維「OASISSAF」が医療用途、食品包装などの用途に紹介されていた。日本からは東レがPLA繊維をベースにしたスパンボンドやスリット糸など、環境対応の素材とカーボンベースのアクリルとポリエステルの導電繊維を披露していた。クラレは「ベクトラン」、「クラクテイブ」、「K・II」、をはじめ、先に発表されたスチームジェット式のスパンレースの厚地のボードを紹介していた。
 また、新製品としてナノベースの銅成分含有の導電性PVA繊維を披露していた。旭化成は新不織布「プレシゼ」やPTT繊維の「ソロテックス」に加え、新しくポリケトン繊維「サイバロン」を国内に先駆けて、このTechtexti1 2007で初めてデビユーさせたのが注目された。接着性と耐疲労性の優れたスーパー繊維として、特にタイヤやMRG製品への応用が期待される。東洋紡はPBO繊維の「ザイロン」に絞って展示していた。アジアでは韓国のHyosung(暁星)や台湾の南亜塑膠工業などの大手が産業用汎用合繊を展示していた。注目されるのは、中国のYantai Supandex社がメタアラミド繊維「Newstar」をSFとFYの両素材で紹介していたことと、Shanghai Tanlon Fiber社が伊藤忠ドイッを通じてPSA繊維(Polysulphonamide)を[Tanlon]というブランドで披露していたことである。LOIが33で耐熱性と難燃性に優れ、250℃で継続使用に耐えるというスーパー繊維の登場である。中国でもこれからテクニカルテキスタイルへの関心が高まるようである。欧州では各種の高機能繊維素材を市場から自由に調達して、独自の規格の機能性紡績糸や混繊糸を製造販売する紡績・糸加工メーカーが多く、用途に応じた様々な製品を開発しているのが興味深い。米国のPharYarns社は7/2Neや10.5/2Neの双糸の炭素繊維紡績糸を複合材に利用すると、同重量のフィラメント糸に比べ30%のShearstrengthがすぐれていることをPRしていた.イタリアのTecnofilati社はステンレス繊維や炭素繊維、銀、銅メッキ繊維をポリエステル繊維などの汎用繊維と少量混ぜて制電、電磁波シールド、制菌など機能を付与した混繊糸を「Resistex」シリーズで展示していた。



U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (8月公開分)

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