2009年2月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2009年1月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

新春特別企画(これからの繊維を支える) 繊維と工業 Vol.65,No.1(2009) p2〜p46


 高分子材料の極限加工 鞠谷 雄士 p2〜p4

高分子材料の紡糸における、高速化、高温化、液浴の利用、絡み合い制御の観点から解説している。高速化により短時間で結晶化が起こる。高温化は、炭酸ガスレーザーで瞬時加熱することにより熱分解を抑制しつつ、擬似的に高温吐出と同じ条件を実現する。液浴の利用は、300℃で吐出させたポリマーを2mmのエアーギャップを設け、水中に導くと繊維の中心部の高い歪速度の伸張変形の履歴を経ているが、その後、高温域から冷却される過程で配向は、緩和し殆ど光学的異方性は示さない。絡み合い制御では、分子鎖の絡み合いのような比較的緩和時間の長い構成要素の制御性を検討している。


 繊維製造におけるレーザー加熱の利用 大越 豊 p5〜p6

繊維にレーザー光を照射すると繊維径方向に温度がほぼ均一な分布の状態が得られ、繊維表面から熱を伝達させるよりも、はるかに早く、繊維全体を加熱することが出来る。延伸のように温めながら繊維を引き伸ばす工程では、加熱しながら引き伸ばすのは不安定になりやすいが、急速、均一加熱することによりこれが防げる。特に比較的太いものフィラメントを精密かつ高速に延伸するのに適している。加熱時間も短いため、熱分解も抑制できる。このため、実質的に高温紡糸が可能となり、高強度の繊維が生産できる。


 バイオ系ナノファイバーの調製と高機能部材への応用展開 磯貝 明 p7〜p8

TEMPO触媒酸化反応を用いることによる天然セルロースやキチンのナノファイバー化、あるいは解繊処理のみによるベーターキチンの完全ナノファイバー化を検討した。TEMPO酸化では、水系媒体で触媒量のTEMPOと酸化剤により、セルロースあるいはキチンナノフィブリルの表面に露出しているほぼ全てのC6位の一級水酸基を選択的にカルボキシル基に変換できるのが特徴である。結晶内部には酸化は進まないので、元の天然構造多糖の高結晶性を維持し、フイブリル表面に高密度でマイナス荷電を生成させることができる。このフィブリル間の荷電反応及び浸透圧効果により、水中で軽微な解繊処理することにより完全ナノ分散が可能となる。


 単一の高分子素材を多様な材料へ 斉藤 拓 p9〜p10

超臨界流体を高分子に含浸させて、結晶化や多孔化させることにより、ナノメートル次元からマイクロメートル次元まで多様なサイズ、形状の多孔構造や結晶高次構造が得られ、単一な高分子素材から多様な材料を作り出せる。ポリオレフィン及びポリカーボネートの例をあげて実験例を紹介している。


 絹フィブロインおよび遺伝子組み換え絹を利用した新たな再生医療材料の開発
中澤 靖元、朝倉 哲郎 p11〜p13

トランスジェニック蚕による高機能絹フィブロインの開発、絹を用いた小口径人工血管の開発、絹フィブロインによる再生医療分野への応用と今後の展望について解説している。


 “ナノマトリックス”加工技術製品の拡大  桑原 厚司 p440〜p443

ナノ加工の草分け的な同社(東レ)のナノマトリックス加工技術の概要、同加工の特徴(繊維一本づつに皮膜を形成させる)、同加工による機能性素材の展開(1単一層皮膜による加工、2多層積層皮膜による加工、3モザイク型皮膜による加工、4ナノコンポジット皮膜による加工について紹介している。


 環境とシルク 玉田 靖 p14〜p15

シルク材料のブレークスルーとして、遺伝子組み換え蚕の作出技術の確立による例を紹介している。緑色蛍光蛋白質をシルクに導入し光る糸シルクを生産する。クモ牽引糸蛋白質の配列を蚕のH鎖蛋白質に組み込むことで高強度のシルク繊維を作ることが可能となる。シルク材料の展望と期待について解説している。


 バイオベースポリエステル 李 在昌、山根 秀樹 p16〜p19

ステレオコンプレックスによるポリ乳酸繊維の耐熱性の向上、微生物産生ポリエステルの溶融紡糸、及び高性能フィルム化について解説している。


 資源循環型社会を目指した繊維・高分子材料のエコ調製法 木村 邦生 p20〜p22

不融性ポリ(p-アミノベンゾイル)(PBA)とポリ(p−フェニレンイソフタルアミド)(PPLA) の重合相変化を利用した直接脱水重縮合法、また、ホウ酸触媒を用いた直接脱水重縮合によるポリ(p-オキシベンゾイル)の高次構造制御について解説している。


 人体と環境への負荷を低減させた染毛法の研究 安永 秀計 p23〜p24

茶などに含まれるカテキンを生体に含まれる酵素で酸化して得られる染料(カテキノン)により、毛髪を黄〜橙〜茶色系に染毛可能である。染めた毛の耐光や洗髪堅牢性は十分高い。また、皮膚への刺激性もない結果が得られた。


 膜技術による水ストレス低減への挑戦 松山 秀人 p25〜p27

下水・排水処理に膜技術によるバイオリアクターの利用が進んでいる。これらに適用する多孔膜の作製とその微細構造制御の研究を行っている。平成19年4月に神戸大学に先端膜工学センターを設置して膜工学研究の世界的拠点形成を目指している。


 繊維強化複合材料の先進交通社会確立技術への応用 仲井 朝美 p31〜p32

繊維複合材料の要素技術である、成形技術として、オートクレープ成形、VaRTM(真空成形)など、また、繊維積層技術を紹介している。


 繊維と表面・界面 西野 孝 p33〜p35

繊維の表面分析の最近の進歩と課題、最近のトピックスを紹介している。


 感覚および防御機能を持つテキスタイルデザイス 木村 睦 p36〜p37

分子認識機能を持つ高分子材料を用いたファイバーの紡糸及びファイバーを用いた織編物による三次元自由曲面について研究している。分子を分子レベルで認識できる高分子を合成し、湿式紡糸法により紡糸する。ターゲット分子の捕捉に伴って繊維内の導電性などが変化すればセンサーとして機能することができる。また、有害物質へのバリア機能を繊維内に導入すれば環境中もしくは空間内での防御機能の強化が図れる。環境内に存在するアレルゲンのキャッチ機能について研究した。


 シニア社会に対してオフェンシブなアパレルを考える 諸岡 晴美 p38〜p41

歩行疲労軽減タイプ弾性靴下(脚部の疲労を軽減しうる靴下の開発が日常歩行を無理なく容易に、しかも楽しく歩行を継続することにつながり、このことが筋力アップをもたらす。筋電図解析を指標として弾性靴下の具体的な衣服圧設計指針を導出した)、膝関節動作を支援するテーピングスパッツ(脚部の筋負担を軽減し、膝関節運動を行う日常活動や軽運動のための弾性スパッツを開発した。座る動作では、テープの伸び抵抗が動作に対するブレーキの役目を果たし、筋の伸張性収縮を補助する)、脚型着圧測定機の開発(下図)、メタボ対策衣料(日常生活の範囲内の身体の動きに対して決して拘束を与えない衣料)、などについて解説している。

図1図2

 個人対応衣服設計の課題 高寺 政行 p42〜44

開繊竹繊維について、衣料用素材への応用を解説している。竹繊維の特徴は、紫外線吸収能と抗菌性にある。今後の用途開発では、竹繊維と熱可塑性樹脂との複合化(PLAやPP樹脂との複合化において耐熱性は問題がないが、混練工程で竹繊維が切断する)、竹繊維と不飽和ポリエステル樹脂との複合化(竹繊維の不織布を硬化剤添加の上記樹脂で含浸し、積層させる…引張強度がアップした)、竹繊維を用いたFRP素材の耐水性などについて解説している。


 解説
 プリーツ性試験装置の開発  池田 善光 p45〜p48

JIS L 1060-2006の織物及び編物のプリーツ性試験方法の伸張法の距離測定に画像センサーを活用した方法を開発した。本装置により従来の測定に比較し、簡易でありながら測定精度の向上がはかれた。


2.繊維機械学会誌

特集 国際見本市に見る繊維機械の最新動向
繊維機械学会誌 Vol.62,No.1(2009) p29〜p69

 ITMA-ASIA+CITME2008−合繊機械 阿部 一成、辻 広治 p29〜p33

紡糸・巻取り機、加工機の出典概要について紹介


 ITMA-ASIA+CITME2008−紡績機械 芦崎 哲也 p34〜p38

混打綿、カード、コーマ、練条機、粗紡機、リング精紡機などの出典概要について紹介


 ITMA-ASIA+CITME2008−革新精紡機  太田 成利 p39〜p42

オープンエンドローター方式、ボルテックス方式、その他紡績(WinSpin)などの出典概要について紹介している。 


 ITMA-ASIA+CITME2008−自動ワインだーー 中川 隆 p43〜p48

自動ワインだーの出典概要について紹介している。


 ITMA-ASIA+CITME2008−撚糸機 久保田 安彦 p49〜p54

衣料用汎用型ダブルツイスター、産業資材用撚糸機の出典概要について紹介している。


 ITMA-ASIA+CITME2008−織機 諏訪 満 p55〜p60

織機、経糸準備機械の出典概要について紹介している。展示されている織機は、レピアが42台、エアージェットが50台、ウオータージェットが8台、プロジェクタイルが1台である。


 ITMA-ASIA+CITME2008−織機 橋本 徹 p61〜p65

織機、経糸準備機械の出典概要について紹介している。


 ITMA-ASIA+CITME2008ならびにINDIA ITME2008−丸編機 飯田 幸作 p66〜p69

丸編機の出典概要について紹介している。


 報告記
 Dornbirn 国際化合繊会議2008
 米長 あきら p75〜p79

新規繊維の開発:Biotex(PLA、PHB、澱粉を混合した生分解性繊維 ピストン紡糸法)、CNPとiPPの混合紡糸にポリアニリンをコーティングした導電性PP繊維、1500℃の高温に耐える非酸化セラミックス長繊維、玄武石繊維、PVDF繊維、高強力液晶ポリエステルなど。  安全関係:PSA(Polysulfonamide)繊維(耐熱性、難燃性)、  テクニカルテキスタイル:土木・建築用繊維複合材料、コンクリート補強テキスタイル、セルフクリーニングテキスタイルなど、色互換性のフォトクロミックテキスタイル、ポリアニリン含有の導電性繊維、ステンレススチールと熱可塑性繊維のハイブリッド繊維  不織布関係:中空スパンボンド技術、メラミンベースのメルトブロー耐熱性不織布、海島型複合マイクロナノファイバー不織布、ウエットレイ用ショートカットPETファイバー  産学官連携プロジェクト:“Polutech”自然災害による建造物や構造物の被害を未然に察知して回避するための多機能テクニカルテキスタイルの開発。高強力補強用テキスタイルにセンサー機能を統合。“ConTex”着用者のストレスレベルを測定するための非接触センサーを組込んだスマートガーメントの開発。ドイツの繊維研究機関(TITV)が開発した特殊導電繊維を利用。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (2009年1月公開分)

PDFファイルをご覧ください(408KB)

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