2009年7月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2009年6月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌  繊維と工業 Vol.65,No.6(2009)

特集 エネルギーデバイスと繊維


 1)リチウムイオン電池の中・大容量化に向けた国の取り組みと技術動向
鹿野 昌弘 p182〜p186

次世代自動車用高性能逐電システム技術開発プロジェクトの概要を中心に解説している。  自動車エネルギー技術の多様化とそれを支える電池技術の必要性は次の通りである。


 2)超電導電力貯蔵システム向けポリエチレン繊維 山中 淳彦、前田 徳一  p187〜p192

高強度ポリエチレン繊維を用いた複合材料は、負膨張、低摩擦係数、高熱伝導率、電気絶縁性を保有し、超電導コイル用絶縁支持材として用いれば高安定な超電導コイルが得られる。さらに超電導電力貯蔵システムなど将来のエネルギー問題を解決する手段としての超電導技術を支える材料として期待できる。


 3)燃料電池向け高分子電界質膜 須郷 望 p193〜p195

潟Nラレの電解質膜を紹介している。水素燃料向け電解質膜、直接メタノール形燃料電池向け電解質膜についてフッ素系膜と比較している。


 4)電気二重層キャパシタ構成材料 成瀬 新二 p196〜p199

電気二重層キャパシタの構造、特性とアラミドセパレーターを用いた電気二重層キャパシタについて紹介している。また、アラミドバインダーを同時に用いたキャパシタの性能について紹介している。  電気二重層キャパシタとは、電解液に一対の導体を浸し正負の電圧を加えると、電解液の導体の界面に自然に生じる1分子の薄膜をはさんで導体側に電荷あるいはホール、電解液側に反対の極性のイオンが互いに引き付けられて逐電するデバイスである。キャパシタは、活性炭電極をアルミ集電極の両面または片面に塗布または接着しセパレーターと交互に積層または捲き回し、ケースに挿入し、電解液に浸し封口した構造になっている。  アラミドセパレーターとは、アラミドを多孔質シート化したものであり、150〜350℃で加熱しても収縮率が0.3%以内と寸法安定性が高い。このセパレータを使用したキャパシタは高温で使用してもセパレータの変形による特性の変化は発生しない。


 5)超撥水表面  川瀬 徳三 p200〜p207

濡れ現象は、液滴の固体表面での接触角θが110〜150°を高撥水、150°以上を超撥水と呼ばれている。超撥水について理論面を含めて最近の研究事例を紹介している。  超撥水を達成するためには、最も低自由エネルギーの−CF3の最密充填表面であってもその化学的性質に加えて表面粗さを付与して撥水性を相乗的に増大させることが必要となる。表面粗さの付与方法は、(1)ケテンダイマーのようなワックスの表面凝固、(2)シリカ粒子、PTFE粒子、ガラスビーズなどのフィラーや昇華性材料のコーティング剤への添加、(3)切削、研磨やエッチング処理、印刷やモールディングと言った物理的処理、(4)フッ素系粒子共存下でのメッキ、(5)表面プラズマ重合、CVD、(6)自己組織化の利用、などが報告されている。セルロース繊維表面の超撥水化として、(1)繊維の糸構造や布帛構造による粗面化、+(2)シリカミクロ粒子形成による粗面化、+(3)シリカナノ粒子の静電的吸着による粗面化により水で152°、ヘキサデカンで137°の接触角を達成している。


2.繊維機械学会誌  Vol.62,No.6(2009)

特集 ナノファイバー研究の最新の動向(その2)Vol.62,No.5(2009)


 1) エレクトロスピニングによる導電性ナノファイバーの作製
奥崎 秀典、巌 虎  p356〜p360

 PPV(Poly p-phenylenevinylene)は、代表的な有機半導体であり、ドーピングによる高い電導度、エレクトロルミネッセンス、光学非線形性などを有することから有機EL素子や有機太陽電池、有機電界効果トランジスタなど光・電子素子への応用が期待されている。  PPVの前駆体であるpoly p-xylenetetrahydrothiophenium chlorideをエレクトロスピニングによりナノファーバーを作製し、得られた前駆体ヤーンを真空中250℃で12時間熱処理することによりPPVに変換させた。PPVを硫酸ドーピングすることにより、PPVは褐色から黒色に変化し導電性PPVナノファイバーヤーンが得られた。


 2) ポリマーアロイ型ナノファイバーの基礎と開発 越智 隆志 p361〜p364

極細繊維化技術について解説し、その中の、ポリマーアロイ型ナノファイバーの開発経緯、コンセプト、特徴を解説している。 本法によるナノファイバーは、単繊維が自己集合し、さらにそれが集まってヤーンを形成するという階層構造を採っている。同ヤーンを用いた製品例として、ナイロンナノファイバーヤーン(平均直径約60nm)は、吸水膨潤して容易に変形するが、この特性を利用してスキンケアクロスなど美容用品に応用したところ極限的な細さのナノファイバーが汚れをきれいに拭き取るだけでなく、肌のダメージも小さく出来ることが分かった。

  紡糸 極細化 紡糸性 製品多様性 安全・環境 設備
複合紡糸(海島・分割) 溶融 × △〜○
ポリマーフレンド紡糸 溶融 ×
メルトブロー紡糸 溶融 × ×
フラッシュ紡糸 溶液 × × ×
エレクトロスピニング 溶液 1△ 9× × ×

 3)メックにおけるエレクトロスピニング装置の開発  稲井 龍二 p365〜p369

メック社のエレクトロスピニング装置について紹介している。ファイバー集積部と紡糸口が重要となるが、プレート式、回転ドラム式、回転ディスク式、回転マンドレル式、スイッチング電極式の5種類のコレクターが脱着・交換が可能である。 量産化の取り組みは、マルチノズル化と非ノズル方式とに大別されるが、メック社は非ノズル方式である。その特徴は、@ノズル方式からの移行が容易である、Aラボ用エレクトロスピニング装置に取り付けることができる、B水系、有機溶媒系、両溶液の紡糸が可能である。


製品紹介

 天然繊維がハイテクで進化「EBRIQ/イブリック」  大島 邦裕 p370〜p372

倉敷紡績鰍フ電子線照射グラフト重合技術であるEBRIQ/イブリックを紹介している。吸湿発熱、消臭、抗菌、接触冷感などの機能性付与に適用している。


 産業資材用バインダー繊維「メルセット」  波左 間令 p373〜p375

メルセットはユニチカ鰍フ耐熱性を有するバインダー繊維「キャスペン」の長繊維である。90〜130℃の高温雰囲気下で使用した場合でも変形することが無い。使用例として、河川などの侵食防止シート「セグローバ」などがある。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (2008年6月公開分)

PDFファイルをご覧ください(514KB)

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