2007年10月号

T.繊維学会誌、繊維機械学会誌等に2007年9月号で掲載された化学繊維素材の紹介記事

1.繊維学会誌

特集 シルクU 繊維と工業 Vol.63,No9,(2007)

  野蚕シルクの魅力−その多孔性と多様性 赤井 弘 p238〜243

 繭を作る絹糸昆虫とは、野蚕糸の光沢はなぜ良く光るのか、多孔性繭糸の小孔と数の大きさ、小孔の形成過程、特性と機能、野生絹糸の特性と今後の利用について述べている。


  カイコの繊維形成と絹の結晶化 馬越 淳、馬越 芳子 p244〜252

 1)絹の種類・組成と結晶化、・カイコの一生、・繭の組成と繊維の形状、・絹フィブロインとセリシンのアミノ酸、・絹フィブロインの相図と構造変化、2)絹糸腺、・カイコ体内の絹糸腺、・液状絹から繊維形成、・カイコの高速紡糸、・液晶紡糸、・ゲル・ゾル転移、・紡糸管、・紡糸管内の水、3)カイコの繭作、・カイコの繭作り、・紡糸の最初の一滴、・繭の形状、・セリシンの効果、4)カイコは大気中の二酸化炭素を繊維の中に固定、5)複合紡糸について述べている。


  遺伝子組み換えカイコを利用した新しい絹タンパク質の作出 田村 俊樹 p253〜256

 カイコにおける絹タンパク質の生合成、昆虫やクモ、貝類の絹タンパク質遺伝子、遺伝子組み換えカイコの作出法、遺伝子組み替えカイコを用いた絹の改変について述べている。


  シルクのハイブリッド化と利用技術 玉田 靖 p257〜260

 無機物質とのハイブリッド化、化学分子のハイブリッド化、グラフト重合による高分子とのハイブリッド化、遺伝子組み換えによるハイブリッド化について述べている。


  絹の精密構造解析と再生医療材料への応用 朝倉 哲郎、中澤 靖元 p261〜265

 家蚕絹フィブロイン結晶部の構造解析、クモ牽引糸並びにエリ蚕絹フォブロイン結晶部の構造解析、再生医療に向けた家蚕絹フィブロインの応用、・絹を各再生医療材料に合わせて成形するプロセッシング技術、再生医療材料の開発、・絹を用いた人工血管の開発、・絹を用いた人工角膜及び人工軟骨の開発について述べている。


  カイコを用いたタンパク質医薬品製造 栗原 宏征、井戸 隆、山田 勝成 p266〜267

 東レで実施しているカイコを用いた動物用インターフェロン研究の取組を通じて、カイコの組み替えタンパク質生産系の概要を紹介している。


  プラチナボーイの開発と魅力について 大沼 昭夫 p270〜274

 蚕の雄は雌に比べ強健で飼育しやすく、絹の生産効率も勝り、繭糸も細く長く繊度偏差が少なく糸質も優れる。雄だけの新しい蚕品種プラチナボーイの開発に成功した。雄のみを得るための平衡致死の原理、平衡致死系統の作出、班紋による雌雄鑑別が可能な平衡致死系統の作出、平衡致死系統への実用形質の導入とプラチナボーイの作出、プラチナボーイの特性を生かす分野について、プラチナボーイの今後の展望について述べている。


  ブラジルの絹産業の発展 茂原 勉 p275〜282

 ブラジルにおける絹産業の発展について解説している。現存のブラジル蚕糸業を支えている基本技術は、日本の伝統技術の伝習である。プラクタ、カネボウの2社は全面的に日本の蚕種育成、養蚕、製糸技術を継承している。2007年の生糸生産量は約1,360トンである。


  繊維学会技術賞
  繊維を用いた電磁波遮蔽材の開発
 新家 英正 他 p288〜291

 セーレンで製造販売している導電性繊維素材プラットの概要、特徴、機能について解説する。プラットは、ポリエステに無電解メッキ法で金属皮膜を形成させる。電磁波シールドメッシュは20〜30ミクロンの極細モノフィラメント糸を用いた高開口率織物を導電化した素材で、導電性、電磁波シールド効果だけでなく可視光透過性を兼ね備えている。本製品は、樹脂あるいはガラスと積層複合化し、PDP用前面フィルターとして使われる。
PDP用電磁波シールドメッシュの素材の必要性能は、1)電磁波シールド性能、2)可視光透過性能、3)モアレが発生しないこと、4)表面反射防止性能、5)コストなどである。 技術開発のポイントは、黒色度アップ、細繊化、耐久性、各製造工程のレベルアップなどである。


2.繊維機械学会誌
特集 産業資材分野が求める繊維の機能 繊維機械学会誌 Vol.60,No.9(2007)

防護資材用途の拡大と課題
  久木 野敏 p483〜488

ケブラー繊維の開発と用途、防護資材用途、切創性の評価(試験方法、試験方法の課題)、切創性に影響する要因を解説している。


侵食防止シート「セグローバ」
  迫部 唯行 p489〜492

侵食防止シート「セグローバ」について、侵食防止機構、セグローバの設計、物性、施工事例、特徴、について解説している。セグローバは、水流に抵抗し耐侵食性を向上させるため、また一定の空隙と厚みが保持できるよう立体編地としている。さらに耐久性を考慮して黒原着モノフィラメントを主に用い、寸法安定性を付与させるために芯鞘構造を有するバインダー繊維(芯部:レギュラーポリエステル、鞘部:低融点ポリエステル)を一部に使用している。シートの表裏層は土砂充填性を考慮してハニカム構造としている。


ジオシンセティックスにおける土質工学的視点
  北本 幸義 p493〜498

土質とジオシンセティックスの機能、土の基本的性質、ジオシンセティックスの機能と性能)、土とジオシンセティックスの相互作用(・補強盛土における補強機構の概念、・補強効果に影響を及ぼす材料特性、・土と補強材との結合状態)、補強盛土の安定性に及ぼす影響)、ジオシンセティックスの新しい用途展開、(・構造部材としての展開、・後工程への支障回避、・新たな形態・施工法)


夢のフィルター目指して
  植原 盛樹 p499〜505

エアーフィルターの現状(フィルターの使用目的・エアーフィルターの用途と種類・フィルターを取り巻く環境の変化・フィルターの市場規模)、アンビック(株)のフィルター紹介、(エアーフィルター用ろ材・バグフィルター用ろ材)
焼却炉用バグフィルターは、工場集塵などに使用される一般バグに比べ高い耐熱性と耐薬品性が要求されるため、ガラス織布、PTFE、PPS、ポリイミドなどのフェルトが使用される。バグフィルターの集塵メカニズムは空調用エアーフィルターの内部ろ過と異なり、表面のダスト一次付着層によりろ過される。一次付着層のダストは定期的に繰り返し払い落としされる。バグフィルター用ろ布の材質は織布とフェルトである。
織布とフェルトの特性比較を次ぎに示す。

織布とフェルトのフィルター特性比較
  不織布 織布
気体の透過する場所 繊維と繊維の間隙 織り糸と織り糸の間隙
集塵構造 表層集塵 表面集塵
表面空隙率 70〜80% 30〜40%
ろ過速度(相対比較) 1.5 1.0
物理的強度
柔軟性
表面処理 多様な処理が可能 ほとんど不可
設計の自由度; 高い 少ない



ガス導管材料の繊維補強方法
  樋口 裕思 p507〜515

更生修理工法に用いるホース補強材としての繊維材料、(反転ライニング工法、繊維構造とホース特性:繊維構造が引張物性と衝撃性に及ぼす影響・繊維構造が曲がり部の追従性に及ぼす影響)、プラスチックパイプに用い補強材としての繊維材料、(プラスチックパイプの高強度・高弾性化・PE/PEマイクロブレーディング糸補強ポリエチレンパイプとの特性)


3.日本繊維技術士センター 会誌
カーペット用の芳香族ポリエステルPTT

PTTは熱可塑性ポリマーであり、ナイロンやPETと同じく溶融紡糸が可能である。繊維用ポリマーの極限粘度は0.8〜1.2が良い。紡糸温度は250℃〜280℃が適切である。PTTポリマーはPETに比べて結晶化が速いため糸条の冷却固化は徐冷が良い。紡糸工程で引き取った未延伸糸は、1工程法または2工程法を用いて1段または多段で延伸する。
PTT繊維のカーペット用かさ高加工糸の製造:ポリマ−は乾燥してその水分レベルを50℃以下とする。紡糸・延伸は、引き取り速度が1000m/分以下の低速SPD(スピンドロー)法である。延伸温度はTg温度付近以上の60〜110℃に設定し、延伸倍率は通常2.5〜3.5倍で1段、または多段延伸する。延伸後120〜200℃のローラーで熱処理する。その後、150〜210℃のホットエアージェットで押し込み捲縮加工を行い、リラックス熱処理してかさ高捲縮糸とする。


U.化繊協会加盟会社の直近1カ月の特許出願状況 (9月公開分)

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